剱岳と剱御前三等三角点 |
三角点探訪 |
剱御前 標高2776.6m 立山雄山 標高3003m 別山標高2880m 真砂岳標高2861m 富士ノ折立標高2999m 大汝山標高3015m |
MRC主催の立山剱岳登山に参加するため一日早く室堂に入った。念願だった剱御前の三角点を探訪するのが目的だった。また時間を見て立山三山(別山・雄山・浄土山)で残っている浄土山登山も考えていた。8月23日夜、21時40分発の富山行き阪急バスに乗って出発した。夜行バスは途中草津PAで1回下車できたが後は現地まで車内の真っ暗な中で過ごした。富山近くのパーキングで小一時間停車して到着時間に合わせて動き出した。 8月24日、夜が白みかけた富山市内を走り5時に富山駅前に到着した。富山地鉄の一番電車の発車を40分ほど待合室で過ごした。乗車券は室堂までの往復券を買った。往復券だと片道券より530円安く、6530円だ。立山行き一番電車は5時44分に発車した。立山に6時32分到着、ケーブルの整理券で2階に急ぐ。今日は平日なので電車に乗っていた全員が一度に乗れたようだ。立山駅で標高475m、約7分で標高980mの美女平だ。標高差500mを一気に上がり平均勾配24度で上部では35度ほどあるそうだ。美女平に到着すると高原バスが待っている。高原バスは室堂まで約50分、雄大な大自然を見ながら標高差約1500mを上がって行く。バスはブナ平を通り標高1200mの滝見台に、バスは一時停車して称名滝を見せてくれる。雄大な称名滝を後に弘法、弥陀ヶ原、天狗平と進む。途中埋蔵金で有名な鍬崎山や大日三山(大日岳・中大日岳・奥大日岳)、剱岳、立山連山などを見ていると室堂に着く。 室堂ターミナルで軽く朝食をとり登山準備をして出発、みくりが池から雷鳥平へと下る。雷鳥平8時40分過ぎ剱御前に向けて出発、コースタイムでは剱御前まで2時間半の予定だ。雷鳥平標高2277mから少し下り沢を渡ったところから雷鳥沢を登り始める。しばらく少し急なガラ場道を登る。右手に雷鳥平から立山が展望できるが山はガスの状態だ。左手の大日三山も軽いガスの状態が続いている。約1時間歩いて小休止。雷鳥坂にさしかかるころからガスが晴れてきた。後を振り向くと薬師岳がきれいに見えてきた。立山連山、大日三山もきれいに見えてすばらしい光景になってきた。別山乗越まで登ると剱岳の岩肌が視界に入ってくることだろう。最後の急坂をあえぎながら登る、10時13分乗越に到着。予定より30分早く1時間半で登ってきた。剱岳の雄姿を眺めながら剱御前へと登った。乗越から登ると2792mのピークに着く。三角点はこのピークにはなく更に500mほど北のピークにある。しばらく行くと踏み後が怪しくなり、尾根から下に巻道がありそうだ。この道は三角点から先、剣山荘へは崩壊で通行禁止になっていたがこのあたりは大丈夫だ。ハイマツの間を抜けるとお花畑だ。特にチングルマ、ウサギギクなどいっぱい咲いていて特にハクサンフウロの紫が鮮やかだった。やがて三角点ピークに到着。標高2776.6mで三等三角点、展望は特にすばらしい。選点は柴崎芳太郎で明治40年6月16日に行われた。この三角点は新田次郎著「剱岳 点の記」で紹介されているが剱岳に三等三角点を埋設するにあたり、三等三角点測量の三角点が周辺に約20数ヶ所埋設された。もちろん選点は柴崎芳太郎だ。大熊山、坊主山、黒部別山、西大谷山、奥大日岳、国見岳、鷲岳、木挽山、早月尾根などだ。 剱岳に迫った三角点がこの剱御前の三等三角点だった。正面に剱岳が立ちはだかっている。このピークより先に小ピークがありその下に剣山荘があるのだろう。そしてその下りが崩壊しているのであろうか。明後日、剱岳にアタックする予定だが2回目とは言え厳しさが伝わってくる。 西側には大日三山が、東方向には白馬三山、五龍岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳そして隣の別山が見える。南を見ると立山三山、薬師岳が見える。槍穂高連山は最初のピークからよく見え一ノ越のあたり、雄山と浄土山の間に見える。いつまでも居たい気持ちだが先へ進むことにし、別山乗越の剱御前小舎に戻った。ここで雷鳥沢を下り室堂から立山三山の一つ浄土山に行くことを計画していたが予定を変更した。これから別山に登り、立山縦走路を逆から雄山まで行くことにした。さらに体力が続けば一ノ越から浄土山経由で室堂に戻るつもりだ。 |
一般に立山縦走は一ノ越から雄山に上がり縦走を始め別山乗越までまたは室堂まで下るコースだ。別山乗越から雄山への逆コースだと累積高低差が登り約460m、下り約220mなのでかなり厳しい。とにかく大走り分岐で判断することにし、出発した。別山への登りはかなり登り応えがある。大きくは2つのピークを越えて3っ目が別山の祠のあるピークだ。かなり大きな山だと思う。大きな尾根の山だという感じだが以前千人池から眺めた別山は円錐形に見えた。蒲鉾を正面から見るのと端から見るのとの差だろう。祠のあるピーク別山は標高2874mで、立山三山の一座だ。北峰に行ってみることにした。少し下ると硯ヶ池に半分ぐらいの雪渓が残っていた。白いお餅を伸ばしたような雪渓と剱岳の岩肌、また回りの山とマッチして美しい光景をかもしだしていた。少し歩くと北峰に着く。標高は2880mで、ここから剱岳はじめ360度展望ができすばらしい。祠のあるピークに戻り、真砂岳へと向かった。かなり急な下りを注意しながら降りる。 |
あす、MRCの立山縦走ではここを登ることになるがかなりきつそうだ。約30分下って真砂乗越に着く。ここから真砂岳への登りになる。難なく10分ほどで登ってしまった。山頂は石ころがあるだけで山が花崗岩が崩壊した砂山まさに真砂といった感じだ。標高は2861mだ。少し下ると大走り分岐に着く。ここから大走りを下り雷鳥平に降りれるが縦走を続けることにした。とりあえずおにぎりをほおばり昼食にした。少し元気が出たところで今日の難所標高差約200mに挑戦だ。 富士ノ折立への急登をあえぎながら登る。数回休憩して同コースを行く2組と相前後しながら登った。富士ノ折立のピークは標高2999mだが、ピークはパスして写真だけ撮った。お疲れモードに気合を入れながらやっと大汝山の休憩所に到着。水も飲み干してしまったので休憩所で水を購入。500円也、小屋の主人と話して心ゆったりした。 大汝山のピークは標高3015mで立山連峰で一番高い山だ。ピークは明日に譲ることにして雄山へ向かう。雄山の山頂の社が見えてきた。社の横に神主さんが仙人のように立っている姿は神々の天空に来た感じがした。さっそく、雄山神社に参拝して、神主さんに呼んでいただいた八百万の神々に登山の安全をお願いし、お祓いをしていただきお神酒を頂戴した。数人でお参りしたので感極まり、海抜一万尺を独り占めした。 雄山は雄山神社の基礎石部は最高点で標高3003mと神主さんが言っていた。三角点は雄山神社から離れたところにあり一ノ越から上がり切ったところにある。標高は2991.6mで一等三角点本点になっている。三角点脇には立山三角点の解説盤がある。立山三角点の解説盤は次のようなものだ。 『一等三角点「立山」 この標石は「三角点」といい全国各地に設置されています。地球上の正確な位置(緯度、経度、標高)が 決められています。霊峰立山のこの三角点は、一等三角点として明治28年8月に設置されたものです。三角点は地図の作製を始め、様々な測量の基準として使用されるほか、地震や火山の調査等に必要な地殻の変動を知る上で、極めて重要な役割を果たしています。 平成8年7月 北緯 36度34分21.2秒 東経 137度37分02.9秒 標高 2991.6m 国土地理院 世界測地系 (平成14年4月)』 7年前にはなかったが三角点横に方位盤が設置されていて方位と山名が刻まれている。約30分で一ノ越へ下る。雄山の登山道は在って無きが如きで斜面がガラ場で崩壊が進んでいるようだ。 |
一ノ越に降り立ち浄土山に挑戦しようと歩き始めたが体力が限界にきたようだ。時間的にも余裕がなさそうなので途中から引き返し一ノ越からメイン道路を室堂に下った。立山室堂に立ち寄り外観を見た後、玉殿岩屋(たまどのいわや)に行った。立山室堂は重要文化財だそうです。説明板によれば、『立山室堂は現在残っている日本最古の山小屋で、立山における信仰や民欲の様子を伝える貴重な建造物です。「室」とは宿泊所という意味があり、「堂」とは、御堂などといわれるように宗教施設を示すもので、室堂は、その両方の役割をあわせ持ったものでした。文献には、現在の建物は1726年(享保11年)に再建されたと伝えられており、それ以前にも建物があったことが確認されています。平成7年には国の重要文化財に指定されました。』 |
玉殿岩屋は立山開山の伝説の地。 明後日登る剱岳、新田次郎著「剱岳 点の記」で柴崎芳太郎が登頂のお告げを聞いた岩屋。 説明板によると。 『立山火山が噴出した溶岩が冷却する際にできた板状節理発達してできた2つの洞窟を、玉殿岩屋と呼んでいます。立山を開発した佐伯有頼が熊を追ってこの洞窟に入り込んだところ、熊は実は阿弥陀如来の化身で、有頼に立山を開山することで人々を導くよう命じたという伝説があります。』 玉殿岩屋は立山室堂から谷へ10分ほど下ったところにあった。剱岳登山の安全を祈願して室堂に戻った。 |
室堂で明日のMRC参加者の前泊組が来ていないか確認してみくりが池温泉に行った。みくりが池には逆さ立山が写り、室堂の名所をアピールしていた。みくりが池は立山火山の火口湖で深さ16mだそうです。立山信仰で「みくり」とは「御厨」と書き「神の厨房」で立山権現の料理がこの水を使って作られたそうです。みくりが池温泉でMRC前泊組みと合流し、温泉につかってゆっくりした後、夕食そして床に着いた。 明日からMRC60周年記念登山立山縦走と剱岳登頂、奥大日岳登山、立山散策など行われる。 |
コース 8月23日(木) 大阪梅田発(21:40)=[阪急高速バス]= 8月24日(金) 富山(5:00/5:44)=[富山地鉄]=立山(6:32/6:40)=[立山ケーブル]=美女平(6:47/7:00) =[高原バス]=室堂(7:50) 室堂(7:50/朝食/8:10)〜雷鳥平(8:42)〜別山乗越(10:13)〜剱御前(10:40/10:55)〜 別山乗越(11:13)〜別山(11:45)〜北峰(11:55)〜別山(12:10)〜真砂乗越(12:39)〜 真砂岳(12:50)〜大走り分岐(13:00/昼食/13:10)〜富士ノ折立(13:48)〜 大汝山(14:02/14:10)〜雄山(14:27/参拝/14:45)〜一ノ越(15:13/15:23)〜 祓堂〜立山室堂(15:58)〜玉殿岩屋(16:04)〜立山室堂(16:15)〜室堂〜 みくりが池温泉(16:30) (泊) 8月25日(土)〜27日 MRC60周年記念登山に参加 交通費 阪急バス大阪=富山 \5400 富山=室堂(電車・ケーブル・バス) 往復\6530 片道\3530 地 図 剱岳 立山 天 候 快晴 参加者 1名 実施日 2007.08.24 |